──将軍の死とともに、女の人生も閉ざされた。
禁欲と欲望が交錯する“比丘尼屋敷”で、
女たちは祈りの代わりに、愛欲で心を満たしていく。
🎞 映画DATA
- 公開年:1973年2月21日
- 監督:藤井克彦
- 主演:小川節子/宮下順子/林美樹/花柳幻舟/あべ聖/浜口竜哉/大泉隆二
- 上映時間:71分
- メーカー:にっかつロマンポルノ
- ジャンル:時代劇/ドラマ/成人映画
- 配信品番:141nkt00658
- 黒猫品番:081
- 平均評価:★★★★☆(4.0)
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※本レビューは成人向けフィクションを文化的・文学的視点から解説しています。
🐾 黒猫レビュー
【1】“禁欲の檻”で燃え上がる女たち。
宝暦年間、将軍家重の死とともに、大奥の女たちは“比丘尼屋敷”へ送られた。 一生、男との交わりを禁じられ、冥福を祈り続ける運命。 『(秘)大奥外伝 尼寺淫の門』は、この禁欲の檻を舞台に、 女の欲望がどれほど残酷で、どれほど美しいかを描いた官能時代劇だ。 藤井克彦監督のタッチは艶やかでありながら、どこか冷ややか。 エロスと死が、同じ温度で語られていく。
【2】小川節子──“祈りと欲望”の狭間に立つ女。
主演の小川節子は、初期ロマンポルノを象徴する存在のひとり。 その清楚な顔立ちと繊細な演技は、堕落よりも“赦し”を感じさせる。 おさよが禁を破って男を受け入れる瞬間、 観客は背徳ではなく、むしろ“生命の肯定”を見出す。 彼女の裸体は、罪ではなく祈りの形なのだ。
【3】藤井克彦の“桃色時代劇”としての完成度。
藤井克彦監督の映像には、常に緊張感がある。 襖越しの囁き、灯火の揺らぎ、女たちの吐息。 艶やかさと狂気が交差する空間の中で、 “性”が“生”の延長線にあることを、観客に静かに突きつける。 派手な見せ場を排し、沈黙の中で官能を描く演出が冴え渡る。
【4】大奥という密室が孕む、“女の地獄”と“救済”。
禁欲の裏で渦巻く嫉妬、愛欲、裏切り──。 “女だけの牢獄”で起きるのは、男のための物語ではない。 それは、女が女を愛し、傷つけ、そして赦すまでの長い旅路だ。 おさよの狂気に似た微笑みの中に、藤井監督は“女の救済”を見た。 そこには、欲望を持つことを恥じない強さがあった。
黒猫のまねき「欲望を抑えることこそ、最も淫らな快楽である。」
🎬 視聴案内
※配信状況は掲載時点。最新の視聴可否はリンク先でご確認ください。
女の祈りは、いつも肉体を通して語られる。
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「また夜が来たら、ここで逢いましょう。」









