──夫が戻った夜、女は再び“縛られる”運命にあった。
小沼勝が描くのは、痛みと恍惚が交錯する“愛の生贄”の物語。
谷ナオミの肉体が、昭和エロスの象徴として燃え上がる。
🎞 映画DATA
- 公開年:1974年10月26日
- 監督:小沼勝
- 主演:高山千草/東てる美/谷ナオミ/庄司三郎/坂本長利/中平哲仟/影山英俊
- 上映時間:71分
- メーカー:にっかつロマンポルノ
- ジャンル:成人映画/縛り・緊縛/辱め/若妻・和服・浴衣
- 配信品番:141nkt064
- 黒猫品番:178
- 平均評価:★★★★★★★★☆☆(4.0)
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※本レビューは成人向けフィクションを文化的・文学的視点から解説しています。
🐾 黒猫レビュー
【1】“女の被虐”は、小沼勝の詩である。
『生贄夫人』は、SM映画の金字塔として語り継がれる一本だ。 小沼勝監督の手によるこの作品には、単なる緊縛や陵辱の描写を超えた、 “静かな詩情”が宿っている。 谷ナオミ演じる秋子が、暴力に抗ううちに、 いつしかその痛みを受け入れていく過程は、 まるで人間が神に仕えるような“宗教的官能”である。
【2】谷ナオミ──痛みを愛に変える女。
谷ナオミの肉体は、ロマンポルノの象徴そのもの。 緊縛、吊り、濡れ肌、涙──そのすべてが“美”として成立している。 小沼監督のカメラは決して卑猥ではなく、 女を“生贄”としてではなく“神聖な存在”として描く。 その瞬間、観客は暴力を超えたところにある、 不可思議な救済を感じるのだ。
【3】愛か、狂気か──崩壊する夫婦の儀式。
SMに堕ちていく夫・国貞と、抗いながらも覚醒していく妻・秋子。 この二人の関係は、愛と破壊の両極を行き来する。 廃屋、草むら、吊るされた白い花嫁衣裳。 すべてが一つの儀式のように配置され、 痛みと欲望の境界が、ぼやけてゆく。 まるで小津映画のように静謐でありながら、 その静けさの中で肉体が叫んでいる。
【4】“生贄”という名の救済。
本作は暴力ではなく、赦しの映画である。 秋子が完全に縛られるとき、彼女はもはや被害者ではなく、 自らの欲望を支配する“支配者”へと変わる。 ロマンポルノの枠を超え、 「肉体と魂の調和」を描いた小沼勝の代表作。 そこにあるのは倒錯ではなく、“再生”だ。
黒猫のまねき「痛みは罰ではない。愛のかたちを知るための祈りだ。」
🎬 視聴案内
※配信状況は掲載時点。最新の視聴可否はリンク先でご確認ください。
女が縛られるとき、世界は美しく沈黙する。
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「また夜が来たら、ここで逢いましょう。」









