──愛と殺意の境界線。
欲望はときに、命よりも強く、美しい。
田中登が描く、官能と破滅のラビリンス。
🎞 映画DATA
- 公開年:1981年5月15日
- 監督:田中登
- 原作:鹿水晶子
- 主演:川村真樹/風間舞子/山地美貴/志麻いづみ
- 上映時間:73分
- メーカー:にっかつロマンポルノ
- ジャンル:成人映画/愛欲サスペンス/心理ドラマ
- 配信品番:141nkt00693
- 黒猫品番:461
- 平均評価:★★★☆☆(3.0)
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※本レビューは成人向けフィクションを文化的・文学的視点から解説しています。
🐾 黒猫レビュー
【1】田中登、最後の“密室サスペンス”。
名門・鳥井坂家の邸宅で繰り広げられる愛憎と陰謀。 『もっと激しくもっとつよく』は、田中登が放つロマンポルノ後期の異色作だ。 エロスの奥に潜む狂気、家族の崩壊、そして“交換殺人”という背徳的な構図。 彼が描くのは、もはや性愛を越えた心理のサスペンス劇場である。
【2】川村真樹の肉体──聖女と悪女の間で。
川村真樹はこの作品で、清楚な人妻と淫靡な復讐者の二面性を演じ分ける。 その表情の移ろいが見事で、田中登の冷徹なカメラが彼女の感情を一枚ずつ剥がしていく。 光沢のある肌、ゆるやかな吐息、そして冷ややかな眼差し。 それはエロスであり、同時に死の演技だった。
【3】“交換殺人”という背徳の寓話。
互いに殺したい人間を交換して殺す──その設定自体が官能的だ。 田中登は、性的快楽と殺意の一致点を執拗に追う。 車内での事故死、夜の邸宅、揺れるカーテン。 どのシーンも、愛よりも罪の匂いが濃い。 彼の演出は静かでありながら、観る者の精神を確実に侵食する。
【4】“もっと激しく”とは、愛することの絶望。
タイトルに込められた「もっと激しくもっとつよく」は、単なる欲望の叫びではない。 それは“生”を賭けた愛の祈りであり、“死”を見つめる覚悟でもある。 ロマンポルノが単なる性描写から、人間の内面劇へと昇華した瞬間── この作品は、その転換点に立つ。
黒猫のまねき「快楽はいつも、罪のすぐ隣にある。」
🎬 視聴案内
※配信状況は掲載時点。最新情報はリンク先でご確認ください。
エロスとは、理性を脱ぎ捨てたあとに残る“人間の真実”である。
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