──山の湯けむり、笑いとエロスが立ちのぼる。
芸者とストリッパー、二つの“女の舞台”が交錯する時、昭和の官能喜劇は最高潮を迎える。
白井伸明監督が描く、裸と涙と笑いの温泉絵巻。
🎞 映画DATA
- 公開年:1975年5月17日
- 監督:白井伸明
- 原作:今野恭平
- 主演:秋津令子/丘奈保美/高橋明/島村謙次
- 上映時間:72分
- シリーズ:──
- メーカー:にっかつロマンポルノ
- ジャンル:成人映画/温泉喜劇/風俗ロマン
- 配信品番:141nkt00697
- 黒猫品番:198
- 平均評価:★★★☆☆(3.0)
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※本レビューは成人向けフィクションを文化的・文学的視点から解説しています。
🐾 黒猫レビュー
【1】温泉街が舞台の“艶笑ロマン喜劇”。
『信州シコシコ節 芸者VSお座敷ストリッパー』は、にっかつロマンポルノが誇る“昭和風俗喜劇”の中でも特異な存在である。 舞台は上山田温泉。地元の男たちとストリップ一座、そして芸者衆が入り乱れるこの物語は、笑いと哀しみが混ざり合う温泉メロドラマだ。 白井伸明監督は、欲望を風刺する“お座敷版ロマンポルノ”を見事に仕上げている。
【2】ベッキー・メロン──純情ストリッパーの涙。
物語の中心となるのは、若きストリッパー・ベッキー・メロン。 男たちを虜にするその十八番“泣き節”が始まると、誰もが涙を流す。 しかし、その純情の裏には哀しい運命が待っている。 男たちは彼女を守ろうと“ベッキーを守る会”を結成するが、結局は滑稽な熱狂に飲み込まれていく。 白井監督はこの愚かで愛すべき人間模様を、まるで時代絵巻のようなユーモアと哀愁で描き出す。
【3】芸者VSストリッパー──女の戦いは男たちの鏡。
秋津令子演じる芸者衆と、丘奈保美らのストリップ一座。 互いにプライドと情がぶつかり合う。 しかし、その裏にあるのは「男に選ばれる女」ではなく、「舞台に生きる女」の誇りだ。 芸者の優雅さと、ストリッパーの生々しさ──二つの“女の表現”が交差する瞬間、ロマンポルノは芸術へと昇華する。
【4】哀しきエロスと笑いの終着点。
詐欺師、田舎医者、芸者、ストリッパー──誰もが誰かを騙し、誰かを愛する。 やがてすべては混沌の中に溶けていく。 それでもこの映画は不思議と後味が温かい。 人間の愚かさを笑い飛ばすことこそ、昭和の“官能の知恵”だったのかもしれない。 湯けむりと笑い声の中に漂う、やさしいエロスの残り香。これが本作最大の魅力である。
黒猫のまねき「裸で笑う女ほど、美しいものはない。」
エロスとは、人を笑わせ、泣かせ、そして許すための芸である。
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