──読経が響く尼寺で、女たちは裸で祈る。
経文のかわりに喘ぎ、悟りのかわりに絶頂を迎える。
“尼僧”と“トルコ風呂”という禁断の融合が、昭和官能の極北を照らした。
🎞 映画DATA
- 公開年:1975年
- 監督:白鳥信一
- 主演:丘ナオミ/二條朱美/田中筆子/神章子/言問季里子/南ゆき/森みどり/谷口えり子/粟津號/信太且久
- 上映時間:68分
- シリーズ:──
- メーカー:にっかつロマンポルノ
- ジャンル:和服・浴衣/ドラマ/成人映画/ハイビジョン
- 配信品番:141nkt00517
- 黒猫品番:203
- 平均評価:★★★★☆(4.0)
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※本レビューは成人向けフィクションを文化的・文学的視点から解説しています。
🐾 黒猫レビュー
【1】尼寺が“トルコ風呂”に変わるとき。
本作『トルコ風呂(秘)外伝 尼僧極楽』は、日活ロマンポルノが持つ“エロスと諧謔”の黄金比を体現した作品である。
白鳥信一監督が仕掛けたのは、「尼僧」と「風俗」という対極のモチーフを正面衝突させる構成。
新宿の“尼寺トルコ”に現れる剃髪美女たち──彼女らの読経と喘ぎ声が混じり合う冒頭シーンだけで、この映画の世界観は観客を掴んで離さない。
【2】“笑い”と“背徳”が共存する世界。
丘ナオミが演じる尼僧は、神聖とエロスの境界を軽やかに往来する。
髪を剃り、経を唱え、そして裸で客をもてなす──その姿は滑稽でありながら、どこか尊い。
白鳥監督特有の“風俗を文化に昇華する軽やかさ”が光る一本だ。
風刺劇のようなテンポと、エロスを笑い飛ばす明るさこそ、初期ロマンポルノの自由さである。
【3】郷愁とエロス、そして“救済”の影。
中盤、新一が“本当の尼僧”を思い出す回想パートが挿入される。
田舎町の尼寺で見た若き尼僧の姿──そこには性的な熱ではなく、純粋な美への郷愁が漂う。
つまりこの作品は、単なるパロディではなく、男が過去の清らかさをエロスの中に探す物語なのだ。
トルコ風呂を舞台にしていながら、結末に漂うのは奇妙な“救済の余韻”。
【4】“尼僧極楽”というタイトルの真意。
タイトルの「尼僧極楽」とは、単なる猥雑な冗談ではない。
男も女も欲を抱えて生きる現世を、“極楽”と呼ぶ皮肉だ。
白鳥信一の視線は決して女を見下ろさない。
欲望も、信仰も、救いも──すべて同列に描かれる。
この軽妙なバランス感覚こそ、昭和エロスの到達点といえる。
黒猫のまねき「俗なるものの中にこそ、真の救いがある。」
エロスとは、俗世を笑いながら見つめる“もう一つの宗教”である。
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